2000年01月12日

超高層マンションは、大震災時には無用の長物と化す?

大手町駅直通13分、駅徒歩3分。総戸数644戸、45階建。販売戸数10戸、2LDK(80.40u)〜3LDK(88.81u)。販売価格未定、最多価格帯5,300万円、6,700万円。平成18年6月中旬竣工。


たしかに、45階建ての超高層マンションは倒壊することはない。でも・・・・・・。

「超高強度コンクリート」、建物中央部のボイドを中心として、柱・梁を3重にめぐらせる「トリプルチューブ架構」、地震のエネルギーを効果的に吸収することにより、建物の揺れを小さく抑える「制震間柱(鋼製)」などが採用されている。

有名な設計事務所の設計、スーパーゼネコンの施工なので、建物の耐震性能についてはまず問題ないだろう。

現行法規に準じていれば、大地震が起きても、たしかに建物自体には問題ない。

建築基準法施行令を要約すれば、建物に要求される耐震性能の考え方は、次のとおりだ。

- 建物の耐用年限中に数度は遭遇する程度の中地震(=震度5強程度)に対して、建物の機能を保持すること。

- 建物の耐用年限中に1度遭遇するかもしれない程度の大地震(=震度6強〜7程度)に対して、建物にひび割れなどの部分的な損傷が生じても、最終的に建物が崩壊しないよう人命を守ること。

つまり、たとえ関東大震災級の大地震が起きても、この45階建ての超高層マンションは、柱・梁、壁面などにひび割れが生じることはあっても、マンション自体は倒壊しないように設計・施工されている。だから人がマンションの下敷きになることはない。

でも、マンションの機能の喪失は、震度4の地震から始まることに注意が必要だ。

エレベーターが復旧するまでの間、毎日階段を上り下りできるのは登山家だけ?

超高層マンションのエレベーターには、一般的に地震監視装置がついている。地震を感知すると、自動的に最寄り階まで運転し、扉を開けて停止する。震度が4未満の場合には、約60秒後に自動的に運転を再開する。

ところが、震度4以上の地震の場合には、二次災害を防止する観点から、自動的に運転再開とはならず、休止状態となる。運転を再開するためには、メーカーの専門技術者の点検・整備を待たなければならない。

エレベーターの台数は、都内で20万台。大震災時には、修復に当たれる専門技術者の数には限りがあるだろうから、復旧には1ヵ月は覚悟する必要がある。

その間、上層階の住民は、たとえ住戸に損傷がなくても、毎日階段を上り下りするのは困難だろうから、一部の登山家を除けば、住み続けることはできない?

危機管理体制のない超高層マンションは、とても危険な状態にある?

- 24時間遠隔監視システムで警備会社が迅速対応

平常時であれば、24時間監視している警備会社の迅速な対応に期待できるし、また、自ら問題解決能力を有していない管理人でも、警備会社など関係箇所に電話するだけでトラブルに対応することが可能だ。

でも、大震災時には、警備会社の迅速な対応は期待できないだろうから、自ら問題解決能力を有していない管理人は、右往左往状態に陥る。管理人の担務は、基本的には、維持管理会社や警備会社の窓口(中継役)にすぎない。

例えば、給排水ポンプが稼動しなければ、飲料水が確保できないことはもとより、トイレを使うこともできない。また、エレベーターが長期間不通だと、高層階の住民は毎日階段を昇降するわけにはいかないだろうから、たとえ自分の住戸に損傷がなくても、住むことはできない。

そのようにして、大地震時に超高層マンションは、無用の長物化してしまうのだ。

本マンションは、オフィス棟、ショッピングモール、シネマコンプレックス、大型商業施設など、建物用途が複合化したエリアの一角に建っている。

この超高層マンションだけでも、644世帯と人口密度が高いのに、周辺の複合施設を合わせると、昼間の人口は、さらに増加する。

震災時に、これらの避難者を敷地内に収容することは、ほとんど不可能だ。道路を挟んで南側にある公園の敷地を含めても、収容能力には限りがある。

以上のように、近い将来起こるであろう大震災時のことを考えると、危機管理体制の整っていない多くの超高層マンションは、とても危うい状態にあるといえる。

では、どのような体制を敷けばいいのか?

あくまでも私見だが、大規模地震を想定した危機管理体制を組織しておくこと。

特に、危機管理対応責任者を定めておくこと。同責任者に一定の権限を定めておき、烏合の衆状態に陥らない体制を事前に敷いておくこと。

震災時に発生する可能性のあるトラブル事象を事前に抽出し、可能な限り対策を講じておくこと。

例えば、震災時には消防署の迅速な対応を期待できないだろうから、住民での消火体制を強化する。メーカーに頼らないエレベーター復旧方法の確立など、検討事項はたくさんありそうだ。
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